さよならの時

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8月1日 、AM8時 私は夢を見ているのだろうか・・・。 昨日までは確かに空き地だったお隣さん。 何故か立派な豪邸が建っている。 「何が起きたの!?」 私はほっぺをつねって見る。 「痛い!」 夢じゃない。じゃあ何で1日で豪邸が? 「何やってんだ?お前。」 後ろから男性の声がした。振り返ると、スーツを着たキャリアウーマン風の眼鏡をかけた女性と、ラフな格好した金髪の青年がいる。 「だって、空き地に家が・・。」 私は豪邸を指差す。 「あー、もしかしてお隣さんかな?」 スーツの女性がニッコリして聞いてきた。 「今日から豪邸(ここ)に引っ越してきました、戸中居(となかい)と申します。で、こっちが・・・。」 「・・・三田(さんた)っす。」 トナカイにサンタ・・まるでクリスマスみたいな名前だなぁっていうのが第一印象だった。 「・・・隣に住んでます、冬野(とうの) (りん)です。」 私は自己紹介をして軽く頭を下げた。 「凛ちゃんね、よろしく。」 戸中居さんは気さくな感じで握手をしてきた。それに比べて、この三田っていう男はずっと不機嫌そうに私を見てる。 「よろしくお願いします。」 私は戸中居さんにだけ笑顔で挨拶した。 「 ねぇ、凛ちゃん。良ければ家でお茶でもいかが?もっとお話がしたいわ。」 戸中居さんに誘われて、私はお隣の豪邸に行くことにした。こんな立派な家に入るのは初めてだからかなりドキドキしている。 「さぁ、どうぞ♪」 ・・・。 引っ越して来たばかりだからか、殺風景な感じだ。とりあえず私は、テーブルとソファーしかない部屋に通された。 「凛ちゃん、そこに座ってくつろいでね。ほら三田、早くお茶の準備して!」 「チッ・・ハイハイ、今持ってきます。」 戸中居さんに言われ、三田さんは軽く舌打ちしながらお茶の準備の為に部屋を出る。 「あっ、ごめんね。ちょっと電話してくる。」 携帯を持って、戸中居さんは慌てて部屋を出た。 ガチャ。 部屋のドアが開く。 三田さんが、お茶を入れて戻ってきた。 「あれ、戸中居(あいつ)は?」 入れたお茶をテーブルの上に置き、三田さんが聞いてきた。 「携帯持って部屋を出て行きましたけど。」 私の言葉を聞くと、三田さんはソファーにどかっと座り込んだ。
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