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とりあえずお茶を飲みながら、私は気になることを聞いてみた。
「あの・・三田さんと戸中居さんって・・・この家に一緒に住むんですか?」
「あぁ、そうだけど。」
「同棲ですか?あ、もしかしてご結婚されてるとか?」
結婚というワードが出てきた瞬間、三田さんは思いっきりお茶を吹いた。
「馬鹿なこと言うなよ。何で俺があんな奴と結婚しなきゃならないんだ。」
三田さんは思いっきり否定する。
「あんな奴って誰のことかしらん?」
いつの間にか戸中居さんが戻って来ていた。手で三田さんの頭をがっちり掴み、思いっきり力を入れている。
「痛っ。す、すみません!調子に乗りました。」
「分かればよろしい。それはそうと、ねぇ凛ちゃん、お願いがあるんだけど・・。」
戸中居さんは三田さんから手を離し、私の方を向いた。
「は、はい。何でしょうか?」
戸中居さんの威圧感に圧倒されながら、私は話を聞く。
「ゆっくり話をしたかったんだけど、仕事が入っちゃって・・良ければこの三田を連れて適当にこの辺を案内してくれないかな?」
戸中居さんは笑顔で話す。とても断れる雰囲気ではなかった。
「えっと、私は構いませんが・・・。」
三田さんの方をチラッと見る。 私の視線に気づいた三田さんは、ソファーから立ち上がり、私の方へ来た。
「おい、外行くぞ。」
私と三田さんは2人で外に出た。
「適当にこの辺を散歩するか。」
三田さんは手を上にあげ、伸び~っとする。
「はい。」
結局、三田さんと戸中居さんが何者なのか・・何も分からないままだ。
ひとつだけ分かったのは、三田さんは戸中居さんに頭が上がらないって事だけ。
「何だ?」
三田さんは私の方を向いた。色々考え込んでいるうちに、私は三田さんの方をじぃっと見ていたようだ。
「い、いや・・何でもないです。」
私は恥ずかしくなって目を逸らす。
「あ、別に敬語じゃなくていいぞ。堅苦しいの苦手~。それに名前もサンタって呼び捨てでいいから。」
三田さんはニカッと笑い、私に初めて笑顔を見せた。
「はい・・じゃなくて、うん分かった。サンタって呼ぶね。」
多分、高校生の私より年上だと思うんだけど、なんか距離が近づき嬉しさのような感情が込み上げ、私はサンタって呼ぶことにした。
それから、話をしながら散歩がてら町を案内した。
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