赤にかけられた青の呪い

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「ごめんね、少し遅くなっちゃった。授業が長引いちゃって」  そう言って待ち合わせのカフェに現れた彼女――赤井絵美(あかいえみ)は、僕の向かいに座った。 「いや、こっちもさっき来たところだから」  三ヶ月前、僕と絵美は同じ大学の学生になった。 僕と絵美は隣同士の家に生まれて、小学校から今までずっと同じ道を歩んできた幼なじみ。  学部こそ違うとはいえ、絵美が同じ大学を目指していると知ったときは、正直「またか」と思った。いつも当たり前のように隣にいる絵美を疎ましく思うこともあった。  それでも気が付けば、やっぱり一緒にいる。 「今日も青いね」 「だから、私は青が好きなんだって言ってるでしょ」 「はいはい。絵美を見ると、青っていろんな種類があるんだなって思うわ」 「でしょ。そんなところも素敵でしょ」  絵美はふふん、と得意そうに笑った。  店員にカフェラテをオーダーする絵美の姿を見ながら、僕は昔のことを思い出していた。
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