5 卒業

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5 卒業

 別れの日はとうとうやって来た。いろんなことがあったな?入学式のとき乱闘があった。そんときからのダチ、エースケとも今日でお別れだ。  エースケは東京にあるゲーム会社に就職が決まった。文化祭や受験戦争、本当はゲーム関係の専門校に通いたかったんだが、親に反対されて、海風高校の系列校である山手短期大学に進学が決まった。  エースケとくっちゃべりながら学校へ向かっている。キングの塔(神奈川県庁)が朝日に反射してキラキラしてる。 「このまえ茨城にあるシモダテってところに行ったんだけどさ?下半身が疼いて仕方ないんだ」 「エーちゃん、最後の日まで下ネタ?」  ヒロユキが言った。メガネがトレードマークの博士タイプだ。高1からずっと同じクラスで短大も一緒だ。 「卒業式面倒くせぇ」  エースケがでっかいアクビをした。 「またかよ?」  ヒロユキが怪訝そうに見た。  エースケの口ぐせ『面倒くせぇ』  ヒロユキは最初、偉そうな感じが鼻についたが今じゃゲーセンに行く仲だ。 「おまえ、コクんなくていいの?」  エースケに唐突に言われてハッとした。 「え?」 「俺が気がつかないとでも思った?高嶋のこと好きなんだろ?」  高嶋碧海、それが彼女の名前だ。 「………」 「顔、赤いぞ?男なら勇気だせよ!」  エースケに渇を入れられた。 「そうそう、大人になってから後悔してもおせーんじゃん?」  ヒロユキは去年、テニス部の坂口真奈美にコクって撃沈してる。 「だよな?」  そうこうしている間に校舎に到着。  実は代表者に選ばれていて体育館でリハーサルをした。メチャメチャ寒い。ヒーターはあるけど後ろの方だ。代表者は前に座るから余計に寒い。  あー緊張する!  式は10時スタート。校長の挨拶が終わる。  真奈美やヒロユキも代表者だ。ヒロユキが壇上に上がる。次は僕の番だ。心臓が口から飛び出そうだ。「萩尾裕之君、君は福祉部部長として大いなる活躍をしました。これからも頑張ってください」  パチパチと拍手の音が響き渡る。  いよいよ僕の番だ。 「はースゲー緊張した。頑張れよ」 「理事長賞、3年7組小田切健太」  ドキドキしたが、自分が代表で呼ばれるってゆー快感も味わった。僕はイジメ対策委員の委員長として功績を残した。壇上までがとても遠く感じた。  ステージに上がり理事長の前に立ったときは心臓がバクバク音を立てていた。賞状を受けとり席に戻っても膝がガクガク震えていた。  
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