第三回 享保の剣鬼

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 どうせ死ぬならば、兵法天下一無双と呼ばれた佐々木小次郎のような大剣豪を相手にしてみたいではないか。  開き直りか、死の覚悟か――  乱丸はもし小次郎と対峙する時が来れば、ただ無心に一手を打ちこみたいと思った。 「あちきは旦那に抱かれて果てたいな~」  夢想に浸っていた乱丸の精神は、黒夜叉の一言で現実に引き戻された。 「お、お前な!」 「あらあ、赤くなっちゃって~ 旦那ってば可愛い」  黒夜叉は素早く乱丸の左頬に接吻した。乱丸は見る見る顔が赤くなる。  尚も続く二人の様子を、夜空の月は静かに見下ろしていた。 
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