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「俺、幽霊なんか見えねえぞ」
「大丈夫だよ。功ちゃんなら見えるよ」
「根拠のねえことを」
どうしようかと探し歩いていると、ある女性の後ろを少し離れて歩いている男を見つけた。
歳は多分、17、8くらいだろうか。
学生服を着ているから高校生だろうことは分かるし、それがきっと幽霊であるだろうと瞬間的に分かったのは、彼の顔色が普通の人よりも青かったからだ。
功典もその女性と男の後ろを着いて歩いていると、女性は寺に入って行った。
「・・・まじか」
科学的じゃないし、いるなんて信じていなかったが、女性が寺に入って1つの墓の前で花を供え手を合わせているのを見る限り、男は亡くなっていることに間違いはない。
女性が去ってからも男はそこに立っていたため、功典は近づいて墓に掘ってある名を見る。
「何て読むんだ?」
読み方が分からなかった。
功典の言葉にも男はこちらを見ることなく、功典は「おい」と声をかけると、ようやくこちらを見て驚いた顔をしていた。
「み、見えるんですか」
「まさかとは思うが、お前死んでるのか?」
「・・・はい」
外村朔というその男は、やはり17歳の高校生だったらしく、半年ほど前、自殺をしたのだとかで、今日は月命日のようだ。
曇旺には成仏させるようにと言われたが、どうすれば成仏させられるのか分からない功典は、とりあえず話を聞くことにした。
「なんで死んだか、聞いても良いか?」
「・・・自殺したんです」
「自殺?」
「学校でいじめに遭って・・・。でも、誰も助けてくれなくて。親にも言えなくて。苦しくて苦しくて、どうしたらよいか分からなくて、逃げたくて、どうやったら逃げられるか考えたら、死ぬしかないって思って」
「・・・・・・」
朔が言うには、父親は転勤が多く、転校することが当たり前だった。
高校では2年になってすぐ転校したのだが、その転校先の授業がその前の学校よりも進んでおり、1人だけ分からないことが多かったという。
もともと勉強はあまり得意ではなかった朔だが、小さい頃から野球が大好きで、野球の方で頑張ろうとしていた。
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