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しかし、見た目が地味なこともあってか。周りの子たちは朔のことを見下し始め、徐々にいじめるようになったのだとか。
ノートや教科書を隠される、落書きされるなんてことは日常茶飯事で、朝登校すると朔の机の上に菊の花が飾られていたり、上履きの中や体操着に画鋲が仕込まれていたり。
制服も破られ、両親が買ってくれた野球のバットやグローブを川に流されたりしていたそうだ。
それは部活の方でも同じで、野球は実力があった朔を疎ましく思ったのか、先輩後輩からいじめの対象となってしまった。
ノックの練習をするからと言われ行ってみると、朔の体操着に紙でかいた的のようなものを貼られ、両手を押さえられたかと思うと、思い切り至近距離でノックのボールが飛んでくる。
みんなが野球の練習をしている時、1人だけグラウンドを走らされたりと、先生や顧問からも毛嫌いされていたようだ。
担任の先生に一度相談したことがあるそうだが、「嫌なら嫌と言えば良い」と言われ、それで終わってしまった。
しまいにはいじめはエスカレートしていき、万引きしてこい、金を取って来い、火事を起こせ、ホームレスを殴れ、女性を襲え、裸になって写真を撮らせろ、そのまま街を歩けなどと、そういった内容のものになっていった。
断ると殴られ、言われた通りにすると朔が警察に捕まるか、もしくは恥ずかしい写真などを拡散されてしまう。
どちらにしても、朔は恐怖でしかなかった。
父親はほとんど家にはおらず、母親もパートで忙しいため、相談など出来なかった。
きっと相談していれば話しを聞いてくれたのだろうが、心配させるわけにもいかなかった。
「自分が我慢してればいいと思って。どうせ引っ越すし、長くても高校と卒業するまでの間だけだからって・・・」
「・・・ひでぇ話だな」
朔が自殺した時も、学校側はいじめなど無かったと調査もせずに否定し、引っ越しが多かった家庭の方に問題があったのではと言ってきた。
一体何を守ろうとしているのか分からないが、どうせくだらないものだ。
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