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「ん……」 眩しさのあまり一度開きかけた瞼を再び閉じかけ、凛太朗は視界に違和感を覚えて瞼をこすった。 「あれ? ここは……?」 ようやく少し軽くなった上瞼を持ち上げると、凛太朗は僅かに首を動かした。 徐々に合ってくる焦点と共に、凛太朗の脳裏に昨夜の記憶がさざ波の様に押し寄せてきた。 「あ!」 慌てて飛び起き、凛太朗はぐるりと辺りを見回した。 そこは、見慣れたリビング兼事務所の応接セット。そのソファの一つに、凛太朗は座っている。 テーブルの上は綺麗に片付けられており、昨夜パスタが乗っていた皿は、キッチンの流し台にきちんと重ねて置いてある。見たところ、ちゃんと洗ってあるようだ。 気が付くと、肩から毛布が垂れ下がっている。 「これって、まさか……」 凛太朗が就寝時にいつも使っているものだ。凛太朗は毛布を握りしめ、ベッドルームへ駆け込んだ。 「やっぱり……」 凛太朗のベッドには毛布は無く、シーツの掛かったマットレスが剥き出しになっていた。 「これ、柏原さんが?」 見渡したところ、これを掛けてくれた本人の姿はない。もう帰ってしまったのだろうか。 迂闊にも寝室を見られてしまったことに言い知れぬ気恥ずかしさを覚えた凛太朗だったが、その直後、本日最大のビッグウエーブが凛太朗の全身を呑み込んだ。
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