03三人称(テロ)

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 レツは、事務室で天野委員長の話を聞く。 「レツさんには、これを渡しておこう」  天野委員長は、昔のお弁当箱に付いてるような、魚の形をした醤油入れを取り出した。 「醤油ですか?」 「天野委員長。レツにはまだ早い」 「鬼頭派さん、いざという時のためにも」 「それをレツに遣わせる、シチュエーションを作るなよ?」 「なんなの、パパ。そんなに危険な物なの?」 「それはデートレイプドラッグだ」 「レツさん、1対1で身の危険を感じたら、この薬を相手に飲ませなさい」  レツは、天野委員長からドラッグを1つ渡された。  天野委員長は、光学迷彩服を脱ぎ、携帯電話で話し始める。相手は、公安警察だ。  電話は終わり、天野委員長は、レツに向かって話す。 「レツさん、緊急事態だ。テロリストが決起をしようとしてるようだ。テロリストは闇サイトで若い女性を募集してる。行けるかい?」 「……はい、私やります」 「レツはまだ訓練生だ。本気か?」 「パパ、心配は要らないよ」  レツは、天野委員長の指示で、携帯電話のウェブから闇サイトへ入る。トップには『急募! 楽に大金が稼げる仕事! 若い女性を若干名募集。詳しい仕事内容は面接にて』と書かれていた。 「天野委員長、応募して潜入すればいいんですね?」 「そうだ。今日その闇サイトで、シアン化カリウムを大量に買った者がいる。テロに関係してるかもしれない」 「シアン化カリウム?」 「通称、青酸カリだよ」 「猛毒ですよね?」 「0.15グラム摂取するだけで死ぬ猛毒だよ。それを7.5グラムも買った奴がいる」 「阻止します!」  レツは闇サイトに登録、応募して、プロフィールを書く。“女、二十歳、都内在住、ニート”と編集する。  ピコン。すぐに返信が来た。 『今から、ホテルで面接しましょう。繁華街のはずれにあるホテルの303号室です』  レツは、天野委員長に携帯電話の画面を見せる。 「ここから近いな。公安警察にも通達しよう。レツさんはすぐに向かってください」 「公安警察もすぐに動けるんですか?」 「そりゃもう、神出鬼没ってくらいに」 「分かりました。行ってきます」  レツは右耳にマイクロチップを入れられた。これで天野委員長や公安警察と意志疎通が出来る。  レツは雑居ビルから出て、歩いて、指定されたホテルへ行く。300メートルほどだ。
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