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レツは、事務室で天野委員長の話を聞く。
「レツさんには、これを渡しておこう」
天野委員長は、昔のお弁当箱に付いてるような、魚の形をした醤油入れを取り出した。
「醤油ですか?」
「天野委員長。レツにはまだ早い」
「鬼頭派さん、いざという時のためにも」
「それをレツに遣わせる、シチュエーションを作るなよ?」
「なんなの、パパ。そんなに危険な物なの?」
「それはデートレイプドラッグだ」
「レツさん、1対1で身の危険を感じたら、この薬を相手に飲ませなさい」
レツは、天野委員長からドラッグを1つ渡された。
天野委員長は、光学迷彩服を脱ぎ、携帯電話で話し始める。相手は、公安警察だ。
電話は終わり、天野委員長は、レツに向かって話す。
「レツさん、緊急事態だ。テロリストが決起をしようとしてるようだ。テロリストは闇サイトで若い女性を募集してる。行けるかい?」
「……はい、私やります」
「レツはまだ訓練生だ。本気か?」
「パパ、心配は要らないよ」
レツは、天野委員長の指示で、携帯電話のウェブから闇サイトへ入る。トップには『急募! 楽に大金が稼げる仕事! 若い女性を若干名募集。詳しい仕事内容は面接にて』と書かれていた。
「天野委員長、応募して潜入すればいいんですね?」
「そうだ。今日その闇サイトで、シアン化カリウムを大量に買った者がいる。テロに関係してるかもしれない」
「シアン化カリウム?」
「通称、青酸カリだよ」
「猛毒ですよね?」
「0.15グラム摂取するだけで死ぬ猛毒だよ。それを7.5グラムも買った奴がいる」
「阻止します!」
レツは闇サイトに登録、応募して、プロフィールを書く。“女、二十歳、都内在住、ニート”と編集する。
ピコン。すぐに返信が来た。
『今から、ホテルで面接しましょう。繁華街のはずれにあるホテルの303号室です』
レツは、天野委員長に携帯電話の画面を見せる。
「ここから近いな。公安警察にも通達しよう。レツさんはすぐに向かってください」
「公安警察もすぐに動けるんですか?」
「そりゃもう、神出鬼没ってくらいに」
「分かりました。行ってきます」
レツは右耳にマイクロチップを入れられた。これで天野委員長や公安警察と意志疎通が出来る。
レツは雑居ビルから出て、歩いて、指定されたホテルへ行く。300メートルほどだ。
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