4人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、ホテルの303号室を訪ねる。落ち着け~、落ち着け~、私。勇気を出してドアをノックする。
アラフォーの男が出てきた。
「デリヘルは頼んでないよ」
「闇サイトです」
「よろしい、入ってください」
私は室内に入る。ベッドが2つ。ファミリータイプの部屋だ。テーブルには缶ビールが数個並んでいた。
私は男に促され、椅子に座る。男は缶ビールをプシュッと開けて飲む。
「仕事内容は何ですか?」
「聞いたら、後戻りは出来ないですよ」
「覚悟してます」
「よろしい。我々は銀行を狙っててね。近くに交番があるんだ」
「私は交番の警察官を足止めするんですね?」
「勘が良いですねえ。こちらで用意してるシナリオは、駅のフォームで痴漢冤罪をでっち上げて、警察官を誘き寄せてほしい。痴漢冤罪のターゲットは君が選びなさい」
「分かりました。それと、報酬は?」
「前金30、後金70でどうかな?」
「やります」
「交渉成立ですね。乾杯といきましょう」
男は携帯電話で通話する。
「例の女の子を手配出来るから、前金を持ってきて」
ピッ。
「前金はありがたいですけど、お酒はちょっと……」
「二十歳でニートなんでしょ? 飲まにゃ、やってられんだろう。さあ、開けなさい」
「はい……」
私はドキドキしながら、缶ビールを手に取り、プシュッと開けた。男は缶ビールを1本飲み干して、新しい缶ビールを開ける。
「ちょっとトイレに行ってくるね。前金が届くまで待っててね」
「はい」
男は立ち上がり、トイレに行った。チャン~ス!
私はポケットからデートレイプドラッグを取り出す。ガコン! トイレの方から音がしたから、ビックリして手が滑った。自分の缶ビールにデートレイプドラッグが入ってしまった。交換する? でも銘柄が違う……どうしよう。
男が戻ってきて、缶ビールに手を出した時。
「何か薬物とかを入れてないよね?」
「じゃあ、私のビールと交換します?」
「いいでしょう」
男は私の手前の缶ビールを取り、ごくごく飲む。
「ぷふぁー! うめえ…………うめ……。何も入れてない……だろ?」
「私、何もしてませんよ。救急車を呼びますか?」
「た……頼む」
男はベッドへ倒れ込む。
私はテロリストにダメージを与えたい。考えた結果、メモ紙に『エイズの世界へようこそ』と書いて、部屋を後にする。
最初のコメントを投稿しよう!