04(ハニートラップ)

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 私はホテルで、満寿代ちゃんを見掛けた。デリヘルの仕事中かな? ラウンジでお茶をしていた。話し掛けちゃダメな感じかな? 何かイライラしてるように見える。 『レツさん、聞こえるかい? こちら、天野』  耳の奥からダイレクトに声が聞こえた。 「天野委員長。遅いですよ。もう片付けてきましたから」 『デートレイプドラッグで上手く行ったかい?』 「テロリストは交番の近くにある銀行が狙いです」 『都内にごまんとある。もっと絞れないかい?』 「駅近です」 『分かった、警察署に通達する』 「レツ子? こんな所で何やってんの? 独り言ボソボソ、怖いよ」 「まっ、満寿代ちゃん。仕事中?」 「終わったところよ。レツ子だから言うけど、官房長官の奴、デリバリーの代金をケチりやがったの」 「そうなんだ。色々大変だね」 「レツ子は何をやってるのよ?」 「えっと。ちょっと涼しい所に入りたいな~、なんて思って」 「そう、変なの。まだ春の始めよ。遊びに行かない?」 「ごめん、満寿代ちゃん。パパを待たせてるの」 「親子デート? また今度遊ぼうね」 「うん、またね。ごめん」  私は逃げるように立ち去る。 『レツさん、さっきの声は知り合いかい? 官房長官と言ってたね』  また耳にダイレクトに声が聞こえた。 「あの子は見逃してください」 『デリバリーってピザかな?』 「お寿司かもしれませんね」 『まあ、いいでしょう。帰還してください』  私はトボトボと歩き、雑居ビルの5階に戻る。 「レツちゃん、お帰り」  事務員のオバサン、美智子さんだったかな? 「ただいまです」 「凄い適応力ね~。とてもまだ訓練生とは思えないわ~。中で鬼頭派さんと天野委員長がお待ちよ」 「はい!」  私はドアを開けて事務室に入る。 「レツ! 無事か?」 「パパ~!」  私は、パパを見た時に涙が溢れる。何度も何度も手で拭う。 「レツさん、テロリストのおおよそが把握出来たよ。緊急性の事案だ。給料を支払おう」 「お給料?」 「貰っておきなさい。レツの初任給だよ」 「分かった。ありがとうございます、天野委員長」 「レツさんは少し休んでください」  私とパパは家に帰る。  私は精神的に疲れた。拳銃の訓練にマジのミッション……。
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