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私はホテルで、満寿代ちゃんを見掛けた。デリヘルの仕事中かな? ラウンジでお茶をしていた。話し掛けちゃダメな感じかな? 何かイライラしてるように見える。
『レツさん、聞こえるかい? こちら、天野』
耳の奥からダイレクトに声が聞こえた。
「天野委員長。遅いですよ。もう片付けてきましたから」
『デートレイプドラッグで上手く行ったかい?』
「テロリストは交番の近くにある銀行が狙いです」
『都内にごまんとある。もっと絞れないかい?』
「駅近です」
『分かった、警察署に通達する』
「レツ子? こんな所で何やってんの? 独り言ボソボソ、怖いよ」
「まっ、満寿代ちゃん。仕事中?」
「終わったところよ。レツ子だから言うけど、官房長官の奴、デリバリーの代金をケチりやがったの」
「そうなんだ。色々大変だね」
「レツ子は何をやってるのよ?」
「えっと。ちょっと涼しい所に入りたいな~、なんて思って」
「そう、変なの。まだ春の始めよ。遊びに行かない?」
「ごめん、満寿代ちゃん。パパを待たせてるの」
「親子デート? また今度遊ぼうね」
「うん、またね。ごめん」
私は逃げるように立ち去る。
『レツさん、さっきの声は知り合いかい? 官房長官と言ってたね』
また耳にダイレクトに声が聞こえた。
「あの子は見逃してください」
『デリバリーってピザかな?』
「お寿司かもしれませんね」
『まあ、いいでしょう。帰還してください』
私はトボトボと歩き、雑居ビルの5階に戻る。
「レツちゃん、お帰り」
事務員のオバサン、美智子さんだったかな?
「ただいまです」
「凄い適応力ね~。とてもまだ訓練生とは思えないわ~。中で鬼頭派さんと天野委員長がお待ちよ」
「はい!」
私はドアを開けて事務室に入る。
「レツ! 無事か?」
「パパ~!」
私は、パパを見た時に涙が溢れる。何度も何度も手で拭う。
「レツさん、テロリストのおおよそが把握出来たよ。緊急性の事案だ。給料を支払おう」
「お給料?」
「貰っておきなさい。レツの初任給だよ」
「分かった。ありがとうございます、天野委員長」
「レツさんは少し休んでください」
私とパパは家に帰る。
私は精神的に疲れた。拳銃の訓練にマジのミッション……。
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