04(ハニートラップ)

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「森山君、成功って何? 何をもって成功と言うの? 定義は?」 「成功は成功だよ。うちの会社は世界展開しててさ。サッカークラブのスポンサーもやってるんだ」 「えっ、話が見えない。何て言う会社?」 「あっ、あのう…………。ガンマ・ロードだよ」  森山は急に淀み出した。詐欺ね? 「聞いた事もないわね。詐欺?」 「違うよ。世界展開してて、サッカークラブも所有してるから」 「典型的な詐欺の手口じゃない」 「じゃあ、これ見て」  森山はリュックサックからパンフレットや雑誌を取り出して、私に見せてきた。  サプリメントの紹介やらシャンプー、台所洗剤の水回り商品の紹介やら。典型的な詐欺だ。 「ここをよく見て」 「どれどれ~」  雑誌には、賞味期限切れの芸能人達が、ガンマ・ロード最高とプラカードを掲げていた。何か宗教みたい。 「芸能人もやってるんだぜ~。詐欺じゃないよ」 「いやいやいや。典型的な詐欺だから」 「成功は約束されてる! 大丈夫さ」  簡単に断って、しつこく電話されても困るしな~。って、森山は汗だくじゃん。怪しい……怪しすぎる! ちょっと足下を見てやるかな。 「分かったわ。私、やる」 「やっぱり、レツは俺の女だぜ」  気持ち悪い。ストーカーになられても困るしな~。あれで行くか。 「1つ条件があるわ」 「何? 何? 俺と付き合いたい?」  この勘違いお門違い宗教詐欺不細工野郎……! 「110万円ちょうだい」 「えっ!? 何で?」 「成功が約束されてるなら、少ないもんじゃん」 「それは犯罪だよ」 「大丈夫。贈与税が掛からないギリギリだから。さあ、110万円ちょうだい。そしたら、頑張るから」 「えっ……あのう……そのう……。そんな大金はない!」 「先行投資も出来ないの? そのガンマ・ロードって会社に未来はないわね」 「知らないからな! 俺が成功して、金持ちになっても、言い寄ってくるなよ?」 「じゃあ、帰るね。逆ギレするような奴にも未来はないわね」  私は席を立ち、帰ろうとする。 「待て待て待て! チャンスを逃すぞ!?」  森山は涙目で、私の腕を掴んだ。 「離せよ。不細工」 「鏡見た事ねえのかよ!?」 「ブーメラン乙」  私は、森山の手首を捻り、関節をきめる。 「痛い痛い!」  私は、森山を転ばして、カフェを後にする。
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