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竹下君のお父さんは帰っていった。私はこれからどうしたら…………。
「ねえ、パパ。私は国家公務員になるの? 試験も受けずに」
「パパと竹下の推薦だ。安心しなさい」
「裏口?」
「違うよ」
訳が解らない。試験をパスしなきゃ裏口じゃん。国家公務員だよ?
「私はどうしたらいいの?」
「オーケーしてくれたか。ホッとしたよ」
「まだ結論を出してないよ」
「これから永田町に行く。レツも一緒に」
「永田町で何をするの?」
「内閣官房長官に挨拶だ」
「えっ!? いきなり?」
「ちょっと顔出すだけだよ」
――私はパパとタクシーに乗り、永田町に着く。国会議事堂前。ドキドキしてきた。政治家の中でも偉い人にこれから会う。
裏門から入る。国会議事堂内はレッドカーペットが敷かれていて、重厚な内装だな。私はパパに案内され、官房長官室に来た。
テレビで見た事あるオジサンが、高そうな木製のデスクに置いてある資料に目を通していた。
「中田官房長官、こんにちは」
「やあ、鬼頭派君……それと、セーラー服の子は娘さんかな? 話は聞いてるよ」
「レツです。こんにちは」
私は深々とお辞儀をする。謝りに来た訳じゃないのに。緊張する~。
「ここに来たという事は、エージェントの打診を受けてくれたのかい?」
「半々ですね」
「イケメンは好きかい?」
このオジサン、官房長官だけど、ハゲてる。イケメンには遠く及ばない。
「そりゃ、イケメンは好きですよ。でも内面ブスは嫌ですね~」
「よろしい。……鬼頭派君、少し席を外してくれないか。レツさんと2人で話したい」
「分かりました」
パパは退室した。廊下で待っててほしいな。最悪、帰りはバスでもいいか。
「レツさん、日本はスパイ天国だというのは知ってるかい?」
「オカルト番組で観た事があります」
「オカルトでも何でもない。実際、日本には各国のスパイ……インテリジェンスがウヨウヨ居る。君の任務は一般人のフリをして、外国のインテリジェンスから情報を抜き取ってくれないか?」
面白そう! でもイケメンと何の関係が……外国のスパイだから、イケメン? 安直だな~。
「スパイはイケメンなんですか?」
「整形が大半だけどね。イケメンだよ。インテリジェンスはスマートだから、内面も良いだろう」
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