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球が消え、まず、レインが倒れた。
「レイン!」
もう一見して青とはわからないくらい、青に染まった髪の少女が、そこにいた。
安らかな顔で、眠っていた。
「爪の下を見て。青くなければ、大丈夫」
言われて、急いで覗き見る。
親指の爪の下は、いつもの肌の色。レインの肌の色だ。
「その顔は……、よかった……ほん……と、うに……」
アリヤのお母さんが、今度は倒れた。
「お母さん!」
レインを木の下に移動させる間に、アリヤがお母さんに駆け寄った。
やっと、再会。
この時のために、ここまで来た。
「アリヤ……アリヤ、アリヤ」
「お母さん! お母さん! お母さん!」
互いに、愛を確かめ合うように、名を呼ぶ。
しかし、お母さんの顔には、青い染みが侵食していた。これが、レインには無かったもの。そして、お母さんにもさっきは無かった。
「……っ」
「きみ、そんな顔しなくても、あの時からこの染みは爪の裏にあったから。だから、あの時点でこうなることは決まってたわ。あと、申し訳ないけど、親子の時間をちょうだい。この子を、思い切り抱いてあげたいの。お願い」
僕は頷いた。
そのあとのことは、僕ごときの凡俗な言葉ではとても語れない。
なによりも尊い、親子の絆だった。
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