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翌朝。
ようやくルームサービスで珈琲を口にした葉築さんは、
「コンビニの珈琲のほうが美味い、このホテル、アメリカンだ」
その薄さに顔をしかめていた。
彼が、いつも、深煎りの珈琲を飲むのは、貧血になる成分がそうじゃないモノより少なくなってるからだそう。
付き合ってる彼女からのオススメらしい。
「さて、帰って仕事して、お姫様の相手をしようかな?」
「お姫様? ……デートなの?」
「先週会えなかったから、機嫌悪いんだ」
「東京の人?」
「いや、千葉だよ」
「……そう……」
お互いに身支度を終えて、部屋をあとにする。
たった一度、流されるように身体を重ねただけなのに、とても名残惜しい……。
それは、彼も同じだったようで、
「また、こうやって会える?」
ドアを開ける前に、背後から抱きすくめられた。
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