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都内のディーラー向け管理システムのメーカー会社に勤めて六年。
庶務事務員として、代わり映えのない毎日を送るために、私はこの満員電車に押し込まれるように乗り、
そして、最寄り駅に着くと、放出されるように同じ所へ向かってホーム内を歩いている。
ラッシュ時。
後に続く人に押されないように、そのためにはどのくらいのスピードで歩けばいいか体が覚えていた。
いつものように、迷うことなくスマートに改札口に向かっていると、
「伊織……!」
誰かが、私の名前を呼んだような気がした。
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