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挨拶運動の日。
いつもより一時間早く起きていた私に眠そうな母が声をかけてきた。
「委員会で早く行かなきゃいけないから」
「お弁当は?」
「作った。お母さんのはお弁当箱に詰めてないから、あとはやって」
昼と夜のパートを掛け持ちしていた母は、朝が苦手で、お弁当は自分で作っていた。
「いってきます!」
「……伊織は元気ねぇ」
挨拶運動なんて、本当に行きたくなかったけど、母にそんな顔を見せたくなくて足早に家を出た。
2本早いバスに乗ると、ガラガラで余裕で座れた。
窓から、閑静な住宅街を眺めてると、アパートから出てくる、見覚えのある男性を発見した。
『橋元先生……』
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