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七時を過ぎても、運動場所の横断歩道には、先に来ていた委員長の三年男子と、私しかいなかった。
そこに5分ほど遅れて到着した橋元先生は、まだ名前を覚えていない私に、にんまりと笑って見せた。
「先生、いい加減名前覚えてやれよ、この人、鷲塚さん。そんで女子だから坊主はおかしいっしょ?」
委員長の突っ込みに、橋元先生は、「そうか」と笑うと、
「覇気のない顔してたから、てっきり来ないと思ってたのに、偉いぞ、鷲塚!」
いきなり、私の頭をぐしゃぐしゃと撫で始めた。
「え、ちょっ」
せっかくブローした髪を、まるで動物を触るみたいに無造作に扱われてビックリしたけど、
「責任感のあるやつは好きだ」
まるでお父さんみたいに誉められて、ちょっとというか、かなり嬉しかった。
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