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学食を後にし、僕たちは人通りの少ない中庭のベンチに並んで座った。
「で、大事な話って?」
「あ、ああ。うん、それなんだけど」
僕は何気なく見た英雄の横顔に、思わず吸い寄せされる。先程感じたように、以前と比べると英雄は痩せた。それに、ただよう雰囲気みたいなものが、少し引き締まるような感覚がした。
「正直、弘に信じてもらえるか、わかんねえんだけど」
言いよどむが、英雄は唇をぐっとかみしめてから僕に向く。
「俺、実はヒーローなんだ」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
「俺は、この星の平和を守ってきた、ヒーローなんだ」
勿論、その言葉の意味はわかるのだが。
「…は?」
僕は冷ややかな視線を英雄に向ける。英雄は視線をそらしながら頭を抱える。
「ああ!もう、今の弘ならそういう反応になるのはわかってた!でも俺は、エイリアンからこの星を守るヒーローなんだよ!本当!」
「はあ」
英雄がいたって真面目で、言ってることも本気であろうことは感じたが、僕の頭の中では色々理解ができなかった。
「エイリアンって、そんな話全然聞いたことないけど」
「そりゃそうだ!このあたりの地域は直接的な被害がないし、被害があったところも裏工作や情報操作で世間にバレないようにしてきたし。俺たちの正体だけじゃなくて、エイリアンの存在も隠すように必死に活動してきたから」
「…そうなんだ」
「って言っても、証拠見せるわけにもいかないし、すぐに信じてもらえないよなあ」
困惑した表情で、ベンチに寄りかかり天を仰ぐ英雄。僕はなんとも言えずにただうなってしまう。
「うーん…」
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