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「さっできたよ!豚バラとパプリカのさっぱり炒め」
大皿をどんっとテーブルに置くと、いただきますと同時に箸が伸びてきた。
「う~ん!おいしい!!」
うちの娘は実に幸せそうな顔をして食べてくれるのでとても作りがいがある。大きな口にたくさん頬張って目をキラキラさせるのだ。
「これいいねぇ。ご飯に合うしさっぱりしているからいくらでも食べられちゃう。それにパプリカの黄色で見た目まで綺麗だなんて」
お母さん天才、と感嘆をつく娘にお粗末様と返す。
「そのパプリカ、冷蔵庫の奥の方に入ってたのよ。あやうく畑に還るとこだったわ」
「それは駄目だね、野菜は美味しいうちに食べないと」
普段はぽやんとしている娘がここぞとばかりに真面目な顔でいうもんだから笑ってしまった。この娘は本当に食べることが好きである。
「お母さん、夕飯はきんぴらごぼうにしようよ。この前作ってくれたやつ。私、あれ好き。」
きっとお父さんも食べたいと思うよ?という娘にこれを機に料理を教えてみるのもいいかと思った。
「しかたないわねぇ。お手伝いしてくれるなら作ってもいいわよ?」
試すように交換条件を突きつけるが、躊躇うことなく、やる!という娘に一緒に買い物へ出る準備をする。
そういえば大根もちょっと残ってたわね。きんぴらに一緒に入れちゃいましょう。
玄関ではーやーくーと呼ぶ娘に、はいはいと言ってキッチンを後にした。
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