302人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
どのくらいだったのだろう。
頭がガンガンする痛さで目を覚ました。
あれ?ここはどこ?
目を覚ましてふと周りを見ると、見慣れているはずなのに、ある意味見慣れない景色。
そこには自分の顔を心配そうに優しく覗き込むイケメン男性の顔もなく、洒落たリゾートホテルのように、天井に備え付けられてゆっくり回るシーリングファンも、天蓋付きのベッドもない。
ただの自宅のトイレだ。
こんなところで爆睡するなんて、なんて隙が多い人生なんだ。
腕時計を見ると、午前4時。
4時間もこんなとこで寝ていたのか。
便所の神様に申し訳ないことをした。
いや、ここで寝ちゃえるんなら、むしろ私が便所の神様なのかもしれない。
私はヨロヨロと立ち上がり、洗面所に向かう。
変な姿勢で寝ていたせいで、体の節々が痛い。
体をおっさんみたいにバキバキ鳴らして体をほぐすと、とりあえずブラウスとタイトスカートを脱いで下着姿になって、メイクを落としてから歯を磨く。
シャワーを浴びようと思ったけど、再び襲ってきた激しい頭痛に苛まれ、ブラだけ外すと、洗濯カゴの中からまだ着れそうなTシャツを引っ張り出して羽織り、そのままベッドに向かう。
真っ当なオトナは、ちゃんとベッドで寝るんだ。
もう便所の神様じゃなくてもいい。
便所の神様だった私よ、さようなら。
そう呟きながら、私はベッドに倒れこむ。
頭からシーツをかぶろうとして、一瞬だけ正気になる。
ちょ待って、明日、ほんとに土曜だよね?
休みだよね?
スマホがどこに行ったのか分からないからアラームセットできないけど、ここは自分の感性に正直に生きよう。
おやすみなさい。
最初のコメントを投稿しよう!