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「……そっかあ……」
目の保養に授業中、白井くんをずっと見ていた。それは確かに嘘じゃなかった。それだけだったのに、気付かない間に、それだけじゃなくなっていたなんて。しかも、恋になっていた、とか。
「私、そうだったのかあ……」
でもそっか、好きだから、ずっと彼を見ていられたのかもしれない。
なんだかとっても恥ずかしくなって、私は思わず机の上に突っ伏した。大丈夫だとは思うけど、どうか、どうか、ミカちゃん以外のクラスメイトの誰にも聞かれてなければいい。
旋毛まで丸見えになった私の頭頂部を、ミカちゃんの手が慈しむように撫でてくる。それで余計に何も言えなくなった私に、ミカちゃんの優しい言葉が降り注いだ。
「頑張れ、律花。応援してる」
「…頑張れるかなあ…」
だって、青く燃える恋は、風が吹けども揺らぎにくく、消えにくいのに。赤い炎ほど消えやすくなんて、ちっともないのに。
私が気付いてしまったこの気持ち。気付いた瞬間、内側から真っ青に、身を、心を、感情の全てを焦がして焦がして、焦がし尽くして、いっそ手放してしまいたくなるような苦しさを経て尚、それでも燃え続けるこの想い。それがずっと、白井くんにもあるのだと、したら。
(……きっと、私のこの恋は、)
天高く歌う碧羅の星に手を伸ばすような、これは、そういう恋だ。
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