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「ヒロト」
声が届く先に、水中に沈んでいくものが。
ケンは全力でそっちに向かった。
水の抵抗がいつもより強く感じる。
速く、もっと速くしないと。
ケンは沈みかけるヒロトを捉えた。
必死で必死で水中から外へと。
目を開けた時、そこは病院だった。
だが、目覚めたのはヒロトだけ。
「たしか、僕・・・」
「そう。川で泳いでいて、溺れていたところを魚釣りをしていた人が助けてくれたんだよ」
ベッドのそばに立っていたお医者は答えた。
「思い出した。ケンの声が聞こえて」
「あの子、ケンくんというんだね」
「うん。幼なじみなんだ」
「そうか」
「ケンは、どこにいるの?」
「違うお部屋で眠っているよ」
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