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 休み時間、教室は雑談で騒がしくなる一方、廊下の先にある階段は静かだった。玄関口などから一番遠く、利用している生徒がほとんどいないからだ。その階段手前の踊場に女子が数人集まっている。 「アンタ、転校生のくせに調子に乗ってんじゃねぇよ」  低い声で脅すように一人が言った。ブレザーの女子が囲う中心に鳥井みちる(とりい みちる)は立っている。 「私そんなつもりじゃ」  みちるが小声で呟いた。それに気づいた女子の一人が舌打ちをする。そして、殴るように防火扉に手を置いた。金属の鈍い音が響き、みちるの身体が跳ねる。 「男子にまでチヤホヤされまくってムカつくんだよ」  女子生徒が手を上げた。みちるが顔を伏せたそのとき、 「お止めなさい」  凛とした声が響く。みちるを囲んでいた女子が視線を向けた。目の前には制服をきちんと着こなした女子生徒が、姿勢良く立っている。ハーフアップにした髪には、青いリボンをしていた。 「アンタには関係ないでしょ。エセお嬢様」  冷たく言い放つが、彼女はにっこりと微笑む。
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