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地 獄
何かに揺れてる感覚がする。
それに、水の音がする。
ふと、頭上から声が響いてきた。
「おい、さっさと起きたらどうなんだ?」と冷たくあしらうような言い方で起こしてきた。
そんな言葉に反抗する気もなく素直に起き上がった。
すると最初に視界に入ったのは鬼の姿をした舟守だった。
「やっと起きたか…おめぇ、ここ何処だか知ってるか?」とまるで試すような言い方で喋ってきて俺は場所を把握するべく周りを見渡した。
それを見て一目瞭然だった。同時に自分がここにいる理由を思い出した。
「そうか……ここは…」
俺の周りには枯れ木しかなくその間に河原で石詰みをしてる自分と同じ人がいてそれを壊すタイミングを計る鬼の姿もあった。
脳裏にこの名前が口に出た。
「三途の川か…そして、私は死んだのか…」
だが、悲しむことも憐れむこともなかった。
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