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「えへへ、まだ入って数百年です…」
彼女の驚くべき年数を聞いても俺は動じなかった。
「驚かないんだね…」
「生前、そこらへん勉強したからな…」
そう言ったら、霧は瞳を輝かせながら俺の事を見つめてきた。
眩しいな………
ふと、そんな風に思ってしまった。
「ねぇ、そんなに怖くないなら地獄で働かない?」
突如、彼女の言葉に愕然としてしまった。
勿論、歩んでいた足も止まってしまった。
「ねぇ、貴方なら地獄の副官くらいなれると思うんだ」
彼女は俺が行くと思ってるのかスキップしながら上へと登っていった。
そんな様子を眺めながら俺は軽く溜め息を吐いてから後を追いかけた。
それから、後半まで差し掛かったとき俺はさっきの話のことを考えた。
でも、考えた末俺の中では変わらぬ決意があった。
「すまん……君の誘いには乗れない」
その言葉を聞いた途端霧は悲しそうな顔をして俺を見つめた。
「そうなんだ……残念……せっかく仲良くなれそうなのに」
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