Prologue

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が。いやいや…… だめだ。 どんなに好きでも、惑わされちゃいけない。 好きだよ。 藍鶴色。 「――それでも。お前、今呼ばれてるんだよ。命令は、逆らっちゃだめ。終わったらいっぱい甘やかしてやるから」 じわあ……と、彼の疲労でくぼんで隈のできた目が、涙で潤んで来る。 「……あはっ、あはははは、あはっ、あは、はは」 うまく泣けないから、彼は笑った。悲しそうに笑う。俺だって断って、こいつが気のすむまで一緒に居たいけれど、そうもいかない。起き上がらせて、目元の涙を手の甲でぬぐってやる。
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