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「起きろー。授業終わったぞー」
「ん…………」
ジリジリとした日差しが肌を刺す様な蒸し暑い天気が続く夏。そんな暑さも関係なく、肌寒いくらいのクーラーの効いた教室で私は目を覚ました。
「全く。確かにこの授業眠いけど、朝からよく寝るよね。寝不足?」
目の前の彼女はこの大学に入って仲良くなった同級生のユキ。気遣い上手で、世話好き。さっぱりとした性格が付き合いやすい。
「ちょっと寝不足だった……かな?昨日少し遅かったから」
「全く。夜更かしも程々にしなさいよ。ほら、次教室違うでしょ、行くよ」
昔の夢を見ていた。彼女と会った最後の日の記憶。断片的で、会話の内容すら覚えてないのに、最後のキスと彼女の笑顔。「さよなら」の言葉だけは、今でも鮮明に覚えている。
あの日新しい世界が始まった。
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