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冷たいコンクリート壁。ビルとビルの間の路地裏。ぼぉーっとする思考回路。何を言っているのか、私には何一つ理解が出来なかった。否。理解をしたくなかった。上からは冷たい雨が身体を濡らしている。目からは温かい雫が溢れ頬を伝い落ちてゆく。そんな中彼女は笑った。太陽の様な眩しい笑顔で。この雨を晴らすような眩しい顔で。一瞬寂しそうな顔をした刹那、私の唇に柔らかく温かい物があたった。
「さよなら」
彼女は一言最後に、消え入りそうな声で呟いた。真夜中の繁華街。人通りの無いネオンの灯りだけが虚しく輝いていた。
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