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もっと早く吹っ切れると思っていた。
すぐに立ち直れると思っていた。
辛いのは一時だけで、時間が経てば、またどこかの誰かに恋をして――そう思っていた。
だけど、現実はどうだろう。
オレは自分が思っていたよりも女々しく、情けない男だった。
吹っ切れた?
立ち直れた?
――無理だった。
あれからどれぐらいの時が経ったっけ。
暑い夏も紅葉の時期も過ぎて、雪の降る季節も過ぎた。先日開いたと思った桜は、あっという間に散ってしまった。
彼女と別れてもう何カ月も経ったのに。
あれから、オレはずっと立ち止ったままだった。
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