step by step

2/19
前へ
/19ページ
次へ
 もっと早く吹っ切れると思っていた。  すぐに立ち直れると思っていた。  辛いのは一時だけで、時間が経てば、またどこかの誰かに恋をして――そう思っていた。  だけど、現実はどうだろう。  オレは自分が思っていたよりも女々しく、情けない男だった。  吹っ切れた?  立ち直れた?  ――無理だった。  あれからどれぐらいの時が経ったっけ。  暑い夏も紅葉の時期も過ぎて、雪の降る季節も過ぎた。先日開いたと思った桜は、あっという間に散ってしまった。  彼女と別れてもう何カ月も経ったのに。  あれから、オレはずっと立ち止ったままだった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加