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安っぽいベッドが、ギシギシ軋む。
「あっ、あっ、あっ!」
「さっきまでの威勢はどうしたんですか?」
「う、るさい……っ」
キスも愛撫もいらないからと、部屋に入るなり自分からスーツを脱ぎ捨て佐藤くん自身を強請った。
でも『俺を大事にする』と強固な決意を抱いているらしい佐藤くんは、なかなか俺の望み通りのものをくれない。
それは俺を焦らしに焦らしまくる結果になり、太い指で中をやんわりと撫でられては白濁を散らし、舌先で熱の中心を吸われては全身を震わせる。
そんな俺を見下ろしながら、佐藤くんはなんだかとても幸せそうだった。
股間のそれは、しっかりと天井を向いていたけれど。
「理人さん、ほんとに知らなかったんですか?」
ゆっくりと俺の中に沈めたものを抜き差ししながら、佐藤くんが眉を寄せて訝しむ。
「なっ……なにが……あ、あっ!」
「ブライダルフェア」
「し、知るかよ、そんなのっ……知ってたら、行ってな……ん、うんんっ」
膝の裏から足を持ち上げられ、奥をぐりぐり抉られる。
激しすぎる刺激から逃げようとして、でもすぐに腰を引き寄せられた。
出ていこうとした佐藤くんの先端がちょうどイイところを掠め、ビクンと強張った腹筋の上に淫らな雫が垂れた。
数十分前には皺ひとつなかったシーツが、もうクチャクチャのドッロドロのグッチャグチャだ。
掃除の人、ごめん。
「そこ、擦るのやめ……あ、あ、やめろよぉ……っ」
「理人さんがかわいいから」
「いちいち俺のせいにっ……あ、ふっ」
腹が立つくらいその一点ばかりを揶揄っていた熱が、一気に奥まで挿入ってきた。
また背中がぞわぞわする。
男は一回しかイケない。
中学の時に保健体育でそう習った覚えがあるけど、それは真っ赤な嘘だ。
「んっ……ん、ん!」
「あ、理人さ……っ」
自分では制御できない波が押し寄せてきて、俺はまた雫を飛ばしていた。
強張る身体が、佐藤くんの強い腕に包み込まれる。
佐藤くんもまた、広い背中を小刻みに震わせていた。
俺は、この瞬間が好きだ。
佐藤くんが欲望を解き放ち、俺に身体を預けてくるとき。
ずっしりと心臓を押しつぶしてくるその重みが、
耳のすぐ近くを掠める荒い息遣いが、
愛おしい。
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