あなたにだって叶うこと

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 幸せな、多少苦しかろうが、人生を生きている人には決してわからない。捻くれて言っているわけではない。  人は経験しないとわからない生き物だからだ。  例えば学校内がほぼ世界を占める中高生に、労働の意義を語ったところで実感として伝わるか? 賭けてもいい。決して理解されない。ふーん。そんなものだろう。むしろウザがられるだけだ。彼ら彼女らにとって大切なのは容姿であり、異姓であり、ファッションであり、確固たる居場所だ。  親元を逃げ出さなければならないような子供にでさえ、有効ではないただの愚痴。現実として例えよう。骨折すれば痛い。ではどのように痛いか? わからない。わたしたちは人の想像力によって労わりや優しさを受けている。  しかし、その労わりは限度枠がある。相談相手が負担に感じたら終わりだ。苦悩を癒すため、優しさを欲し『相談』という名目で友人を渡り歩き、気づけば周りに誰もいない。  キャッシングローンと同じだ。  借金を重ね、返済不可能額となり、やがて借金を借金で返す自転車操業となり破綻する。誰だって毎日を必死で生きている。仕事や家庭、勉強。自分を支えることが先決だ。優しさは常に100%満タンではない。手に余る相談を持ちかけられれば、答えることなどできないし、それが続けば距離を置かれる。  依存されては堪らないからだ。SNSならブロックだ。
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