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彼は自分の名を琢磨(たくま)と言った。
以前この店でアルバイトをしてたそうで、今回マスターから留守番を頼まれたそうだ。
バイトをしてたのは私が通い出すよりも以前のコトらしい。
「じゃあ、ちょうど僕のバイト期間と入れ替わりで、ココに来られる様になったんですね。」
「そうね、ホントにちょっとの差だったね。」
「ホントですよ。 あー! もう少し続けてたら、もっと早くお会い出来てたのに残念です。 でも、今日こうして会えましたから。 ラッキーです。」
琢磨はとびきりの笑顔でそう言った。そして…
「あ、すみません。 お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「えっ? あ、そうだね、まだ言ってなかったよね。 私、江田 菜つ姫(ごうだ なつき) って言うの。」
「江田さまですね。」
「あ、いや、出来れば下の名前で呼んで貰えるかな? なんか江田って、ごっついイメージで嫌なんだよね。」
「かしこまりました。じゃあ、菜つ姫さん。で、良いですか?」
「うん、よろしくね。じゃあ、あらためて初めましての乾杯しよっか。 琢磨くんも何か好きなの飲んで。」
「ありがとうございます。 じゃあ、スコッチをロックで頂いても良いですか?」
「どうぞー。 ウイスキーをロックで飲むなんて、琢磨くんて、お酒強いんだねー。」
「いえ、そんな事は…」
そうして、丸い氷を入れたロックグラスを持った琢磨と乾杯した。
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