『青』……83回、妄想コンテスト。

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変わったのは、瓶の形が少し太くなっていて、飲み口にはプラスチックのような物が付けてあること。 そして、分別する時にそのプラスチック部品を外したら、中のビー玉が取り出せる。 昔は、どうやったって出て来ない造りだったのに。 ビー玉を出したくて瓶を割ってた男子がいたっけ。 懐かしい…。 青い記憶に想いを馳せた。 気がつけば、子供たちは成長して家を出て。 夫とは長いこと連れ添ってきた。 そりゃ…髪に白髪が混じって、(しわ)が増えるのも仕方ないわ。 小さな丸いガラスの器に、2つのビー玉と水を入れて、コスモスを挿した。 ビー玉のうっすらした青さと、水と陽ざしの醸し出す小さな空間に、夏を見出だして眺めた。 そう言えば。 祖母は、ビー玉のことをビードロと言ってたっけ。
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