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「どうだい?」
息を弾ませながら目を爛々と輝かせながら聞いてくるおばあちゃんに、少女は立ち上がり、声を張り上げた。
「すっ……ごかった!ポーンポーンって、お手玉がはねてね、それで、くるくる回って……それに、最後に上にビュンって上がったやつ、小鳥さんが飛び立ったみたいだった!」
「そうかいそうかい」
キラキラと目を輝かせながらすごかったとはしゃぐ少女。そして、そんな少女の盛り上がりに破顔したおばあちゃんは、満足そうにうんうん、と何度もうなずいた。
「わたしも、お手玉できるようになりたい」
「そうだね……難しいかもしれないけど、アヤもやってみるかい?」
「うん、いっぱいやって上手になる!」
「それじゃあ、まずは二つからかね」
少女は、キラキラと目を輝かせながらお手玉を受け取った。お手玉が、少女の手を隠すようにして、手のひらにのせられた。
「それじゃあいくわよ」
よしっ、と意気込む少女に、おばあちゃんの声がかかる。
「さんはいっ」
「いち――」
あっ、という少女の声とともに、お手玉はあらぬ方向へと飛んでいく。その様子に、自由を得た青い鳥が飛び立っていくみたいだ……と、おばあちゃんはそんなことを考えた。
ザッザッとお手玉の落ちる小気味よい音がした。そして、畳の上に青いしみができる。
「あぁー、難しいっ」
悔しがる少女に、おばあちゃんは口元に微笑を浮かべ、目を細めて少女を見つめる。
「ああ……」
ひとりでにもれたかすかな声は、少女の声にかき消されて消えていった。
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