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女御は首を傾げて、「ならばそれこそ左大臣と弁の侍従に相談してみてはどうです?」と答えた。
帝は内々に左大臣・藤原時平と、弁の侍従・藤原忠平の兄弟を召した。
「あの長鳥の尾のような裾!見るに耐えぬ。高欄にかけるなど見苦しいにもほどがある。罰則でも作ろうと思うが、いかに思う」
兄弟は顔を見合わせた。
「官位に従って、足元から何尺までと決めましょうか」
今、兄に命じられて編纂している「延喜の格式」に書き記すか、と考えながら忠平が答えた。
時平はというと、顎をトントンと叩いて何かを思案している。
「左大臣、いかに」
時平はニヤリと笑った。
「何か思いついたか」
「お耳を拝借」
時平は帝と忠平にだけ聞こえるように囁いた。
「良し。行うが良い。それでもダメなら、罰則を作るぞ」
はっ。時平と忠平は御前を去った。
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