1

3/14
前へ
/14ページ
次へ
 女御は首を傾げて、「ならばそれこそ左大臣と弁の侍従に相談してみてはどうです?」と答えた。         帝は内々に左大臣・藤原時平と、弁の侍従・藤原忠平の兄弟を召した。 「あの長鳥の尾のような裾!見るに耐えぬ。高欄にかけるなど見苦しいにもほどがある。罰則でも作ろうと思うが、いかに思う」  兄弟は顔を見合わせた。 「官位に従って、足元から何尺までと決めましょうか」  今、兄に命じられて編纂している「延喜の格式」に書き記すか、と考えながら忠平が答えた。  時平はというと、顎をトントンと叩いて何かを思案している。 「左大臣、いかに」  時平はニヤリと笑った。 「何か思いついたか」 「お耳を拝借」  時平は帝と忠平にだけ聞こえるように囁いた。 「良し。行うが良い。それでもダメなら、罰則を作るぞ」  はっ。時平と忠平は御前を去った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加