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ライブ後、恒例となっているAOM48の握手会。次々目の前に現れるファンにスマイルを浮かべ、差し出された手を握っていくAOMメンバー達。
その中央で一際オーラを放つメンバーが、痩せ細った手を掴んだ。
「よう。久しぶりだな。元青りんご」
「えっ」
俺の顔を見た青りんごは、瞬きしたまま硬直した。
「あの死にかけが今じゃAOMのセンターか。随分と立派になったもんだ」
「……ひょっとして、浦成、飄太君?」
名を呼ばれた俺は、骸骨そっくりの顔を近づけた。
「いいか、お前が今そこにいられるのも全ては俺のお陰なんだ。俺があの日からずっとお前を生かしてるんだ。ちょっとは俺に感謝してもらわないと、俺が報われないだろうが……!」
「う、浦成くん? い、痛いよ」
無意識に握手する手に力が入る。
「お前は俺の人生を踏み台にしたんだ! 俺が今までどれだけ苦しい思いをしてきたか、お前なら、わかるだろっ……!」
周りのファンがざわつき、異変を察知したスタッフが動きだす。
「俺は、お前の事を、死ぬほどっ」
そこで俺は貧血を起こし、そのまま意識を失った。
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