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「あ、あなた、誰?」
「……よお、悪魔」
「ご無沙汰してます飄太さん。キミもなかなかしぶといね」
と皮肉を言い、悪魔は天使のような笑みを浮かべた。
「何しに出てきやがった」
「僕から説明した方が手っ取り早いと思いましてね」
「よせ。そいつには何も言うな」
「おや? では何故キミは彼女に近づいたんです? 意味深な発言までして」
「あれは、こいつを目の前にしたら、つい感情が爆発して……」
悪魔はやれやれといった感じに手の平を上に向けると、青りんごに赤い眼差しを向けた。
「葵凛子さん。本来なら貴女は12歳で死んでいました。貴女は今日まで、浦成飄太さんの生命エネルギーを分け与えられていたお陰で生きてこられたのです」
再び石像のように硬直する青りんご。
「変だとは思いませんでしたか? 余命を宣告されていた自分が、ある日突然元気になり、代わりにクラスで一番活発だった男子が、かつての自分みたいな姿になった事に」
「そん、な……。じゃあ私、今までずっと浦成君を苦しめてきたの……? 浦成君にも人生が、夢があったのに、私、それを奪って、私だけ夢を叶えてっ……」
徐々に声が震え感情が高ぶりだしているのが分かる。
「私っ、もう、もうッ」
俺は咄嗟に青りんごの口を塞いだ。
「お前にとってアイドルは生き甲斐だろ。今更辞めるとか言うなよ」
「でもっ、このままじゃ浦成君が」
「心配すんな。生き甲斐なら俺にもある。AOMの推しメン、葵凛子を応援し続けるって生き甲斐がな」
青りんごは涙ぐんでいた目を見開いた。
「俺はお前の事を死ぬほど応援している。だから頼む。俺から生き甲斐を奪わないでくれ」
「浦成、くん……」
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