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「僕は人の欲望など負の念が具現化した存在。キミに分かりやすく言うと、“悪魔”かな」
「あくま?」
「怖いなら天使とか神様と呼んでいいよ。どのみち人智を超越した存在であることは確かだからね」
「ふざけんな! どう見てもイカれた格好をした人間だろうが! 俺が子供だからってでたらめ言うなこの変態気色悪野郎!」
「おやおや口が悪いね。葵凛子が死に追いやられるのも頷ける」
俺は声を失った。
「言葉は時に鋭利な刃のように心に突き刺さる。相手によってはそれが致命傷となり、生きる気力を失くし死に至らしめる」
その悪魔の言葉もまた俺の心にグサリと刺さった。
「確かに葵凛子の余命は残り僅かではあったが、キミの言葉は間違いなく生きる気力を削ぎ、寿命を縮めた。言わば葵凛子はキミが殺したんだ」
「俺が、青りんごを、殺した……」
膝を着きうなだれる俺に、悪魔は柔らかい物腰で語りかけてきた。
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