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「もしキミにその気があるなら葵凛子に会わせてあげるけど」
「……俺をあの世に連れてく気か?」
「殺しはしないよ。ただ、キミに呪いをかける」
「呪い、だと?」
悪魔は鋭い爪が生えた細長い人差し指を俺に突きつけた。
「そっ。“生命エネルギー”が抜けていく呪いさ」
なんのこっちゃ、と言わんばかりの俺を察して悪魔は続ける。
「生命エネルギーは人間の動力源。電化製品なら電気。車で言えばガソリンだね」
「そのエネルギーが、何で抜けなきゃならねえんだよ?」
「んー、おバカなキミに分かりやすく説明するとだね」
カチンときたが黙って話を聞く。すると悪魔は手品みたいに空中に風船を出現させた。
「この空気が入った風船がキミ。萎んだ風船が葵凛子だ」
その風船同士をホースみたいな管で繋いでみせる。
「こうしてキミの中にある空気を葵凛子の中に入れてやる。するとほら、膨らんだ。こんな風にキミの生命エネルギーで葵凛子を蘇らせるのさ」
マジかよ。そんな簡単な仕組みで人が生き返るのか? 信じられねえ。
でも、今はコイツにすがるしかねえ。
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