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「まだ死後それほど経ってないし、今なら間に合うけどどうする?」
「も、もちろん! エネルギーでもアレルギーでも何でもやるから生き返らせてくれ!」
悪魔はズイっと顔を近づけ真っ赤な目で俺を見た。
「念のため言うけど、蘇らせたところで彼女に巣食う病魔は消える事はない。ただし、発病を押さえる事はできる。つまり彼女を生かし続けたければ、キミは一生生命エネルギーを供給し続けなければならない」
一生……。死ぬまでって事か。
「それでも構わないなら呪いをかけよう。あ、ついでに人々から葵凛子の死に関する記憶を消してあげるよ。この世界で死人が蘇るのは宇宙人に遭遇する事ぐらい御法度だからね」
悪魔はいいのかよ。という言葉を飲み込み俺は訊いた。
「どうしてそこまでしてくれるんだ。悪魔だったら人を騙したり、痛い目に遭わせたりするもんだろ」
すると悪魔はニタリと笑い舌舐めずりをした。
「当然、タダじゃないさ。ちゃーんとキミの魂を頂くよ」
「た、魂を!?」
「もちろんキミが死んだ後でね。キミの魂はあの世に逝けず転生する事もできず、この僕の一部になるのさ」
よく分からないが死んだ後ならどうでもいいか。そんな軽い気持ちで俺は悪魔と取り引きした。
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