*君のいない世界など

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『二人の間通り過ぎた風は どこからさみしさを運んできたの 泣いたりしたその後の空は やけに透き通っていたりしたんだ』 優しさも、笑顔も、夢の語りかたも 全部全部、君を真似ていたんだ だから、こんなに綺麗だけど どこか自分では、 ないような          * * * 『もう少しだけでいい』 『あと、少しだけ、くっついていようよ』 今日の夜、君がいなくなる 国のなんとかで、急に こんなのおかしい、何かの間違いだ… どれだけ反論しても、手遅れだった。 あと少しでいなくなるこの優しい温もりは 一分、一秒、今も惜しくて 強く、抱き締める。 それに気付いた君は優しく どこか悲しい目で僕を抱き寄せた。 綺麗な星空の中 足元をひんやりと通る冷たい風はどうしても、 まるで2人を引き裂くように感じられてしまう 普段は話す言葉が途切れないのに 悲しさと、焦りのせいで、何を話したらいいのか どうすれば時間を有効に使えるかとか、 そういう事ばかり考えてしまって 頭が回らなくなって お互い無言になってしまう もう少しだけ もう少しだけ それでも、いつか終わりは来てしまう もう少しだけ、 の次の もう終わり が怖い 明日には、もう会えなくなる 君がいないこの世界でも、 大人は皆軽々しく意味があると言う でも 君のいない世界なんて 例えてみれば 夏休みのない8月のよう 笑うことのないサンタのよう どこかのピースが抜けてて そのピースは僕の中では、 真ん中の、一番大切なピースで 一番なくちゃいけないピースで 君のいない、世界なんて 僕にとっては、崩れてゆくパズルなんだ。 もう、少しだけでいい あと、少しだけでいい もう少しだけ… なんて、嘘 本当はずっと、 君といたいのに。
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