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第三節:職場復帰!
(ヤバい!緊張してきた!)
時刻は8:40
K県Y市のオフィス街、通勤途中の人々が行き交う中、柚里香は自身の勤務する高層ビルの前で立ち竦んでいた・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『無い!無い?ないぃー!?』
クローゼットを開け見渡した瞬間、青ざめた。目の前にある服はすべてスカートタイプで1着あったはずのパンツスーツが見当たらないのだ。
『お母さ~ん!私のスーツ知らな~い?』
不思議なことに普通に母裕子に声をかけていた。
口調も柚里香そのもので。
「えっ?そんなの知らないわよ」
起きてきたばかりの裕子に訊いても結局大した返答は得られなかった。
下着類ですらかなりの抵抗があるのにここにきてスカートとなると下半身があまりにも無防備過ぎる。
だが、そんな事も言ってられないので今回は渋々、クローゼットの端にあったリクルートスーツ(スカート)に着替えることにした。
『えっ!もーこんな時間!?』
急いで玄関へ行き、靴を履こうと下駄箱を開けて驚愕。
目に飛び込んできたのは私の思う靴とは程遠いパンプス?だらけであった。さすがにスーツにスニーカーは履いていけない。
(このヒール、一体何㎝あるんだ?)
一番低そうなのを履きながら
『行ってきま~す!』
「ちょっと待って柚里香!朝ごはんは~?」
『いら--、-------』
「まったく!しょうがない子ねぇ~」
私は駅へ向かう道中、『やっぱり昨日電話するんじゃなかった💧』と凄い後悔をしている。
退院後、直ぐに総務部の今井課長(男性)経由で営業部の櫻井主任(女性)へ報告したところ。
「大丈夫?柚里香。早速で申し訳ないんだけど明日から出社してちょうだい」
『あっ、はい』
「じゃあ、宜しくね」
(あ~ぁ、こんなことなら身の回りの準備してから電話すればよかった)
後悔先に立たずとはよくいったものだ。
満員電車に押し潰され会社までの通い路。
『足いたぁ』
足に痛みが走る。柚里香の体とはいえ履き慣れないものは履き慣れない。
(今日スーツと靴買って帰ろう。そうだ!パンツも買って帰んなきゃ)
そうこう考えているうちに会社の前に到着。
そびえ立つ高層ビルの真ん前で私は緊張の渦に呑み込まれる前に覚悟を決めた。
『よし行くか!』
その足を一歩前に踏み出した。
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