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第四節:職場復帰2!
「おはようございます」
受付嬢の金杉さんが優しく笑顔で挨拶した。
彼女の笑顔のおかげで緊張が和らぐ、そんな気分にさせてくれる。
私も『おはようございます。金杉さん』と挨拶を交わす。
ここは36階建てビルでその中の12階から16階までが私たちの会社である。
まず、今いるこの12階が受付、ショールームそして営業部1課(主に来店ユーザー対応の部署)、喫煙室(従業員はこの階で喫煙できない、お客様用)。
続いて13階が企画推進事業部(イベント企画を行う部署)、撮影室(商品撮影を行う部屋)、そして私が所属する営業部2課(主に外回りでの営業)。
14階が社長室やその他の取締役及び各部の部長方の部屋、そして秘書室がある。
15階が総務部(総務課、人事課、経理課、情報管理課など)。
最後16階が会議室、リフレッシュルーム、喫煙室(従業員用)などである。
このビル?会社?のちょっと変なところは1階から13~16階の直通が無い。(エレベーターが止まらない)必ず12階の受付を通り階段にて各フロアに行くという仕組みである。噂では社長がビル管理業者にそのような依頼をしたらしい。おそらくお客様が直接12階以外に立ち入れないようにしているのだと思う。
私は金杉さんに会釈し階段にて13階へ向かった。
いくら柚里香の記憶があるといっても私としては初出社。再び緊張の波が押し寄せ、心臓が張り裂けそうになる。13階に到着し再び深呼吸、そして2課の扉を開け、
『おはようございます!』
大きな声とお辞儀で挨拶をした。
すると部屋の奥から、
「うぃ~す。芹澤、早いな」
時刻は8:53
今、返事をした人以外はまだ出社していないようだ。この会社は10時が始業時間であり大抵の人は9時過ぎに出社してくる。
『あっ、課長!おはようございます!今日からまたお願いします!』
「今日から業務再開だったな。櫻井から話は聴いてたけどあまり無理するなよ」
『はいっ!』
コーヒーカップ片手に話かけてきている白髪混じりのナイスミドルの男性が我らがボス、相馬課長である。
(記憶があるって本当に便利だ。相馬課長さんも私が柚里香だと信じきってるようだ。けど記憶があっても初対面だからすげぇ緊張する!)
「芹澤、始業までまだ時間があるからゆっくりしてろ」
『あっ!はい、何か飲み物買ってきます』
「おぅ」
緊張と久しぶりに会う?職場の人のせいで喉はカラカラ、脇汗もかいていた。
私は2課を出て16階へ向かった。
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