第四節:職場復帰2!

2/3
45人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
『ハァハァ』 ようやく16階にたどり着き自販機前で飲み物選びに迷う。 今、柚里香が欲っしているはおそらく冷たい紅茶。しかし、私が飲みたいのはホットコーヒー、しかもブラック。 『ん~!よし、決めた!』 小銭を入れボタンを押した。 〈ガタンッ〉 出てきたのはブラックコーヒー! ここ数ヶ月飲んでいないのと欲が勝った結果だった。 コーヒーを片手に私は喫煙所に向かった。 なんと柚里香はタバコを吸う。 毎日20本くらい吸っていた私にとって電子タバコでもとても有り難かった。 〈ガチャ〉 扉を開け、中に入って思わず、 『くっさぁ!!』 喫煙所には誰も居ないのにタバコ臭で物凄かった。部屋一面に臭いがこびりついているのだ。 この臭いは正直キツすぎる。この体にはそこまでの免疫力がないのだ。 何とか臭いにも慣れてきたところで、久しぶりの至福の時を味わおうとまずは電子タバコにスティックを差し込み電源を入れる。 そしてフィルターを咥えて、 『すぅ~、ふぅ~~』 タバコがこんなに美味いと思うのはかなり久しぶりだ。 続いて先程、悩みに悩んだあげく購入したブラックコーヒーの蓋を開け一口、 『ぶぅっ!にっがぁー!』 コーヒーを口に含んだ瞬間、思わず吹き出してしまった。やはり柚里香の体はコーヒーなど欲しておらず全身に鳥肌が立った。 (やっぱりアイスストレートティーにしとけばよかった) コーヒーを飲むのは断念しタバコだけを吸うことにした。 『電子タバコって、こんなに吸い応えあったっけ?』 以前の私なら軽すぎて何本も吸ってしまうところだがこの体だと1本吸っただけでかなりの満足感を得ることができた。 『うぅ~、気持ち悪い』 頭がクラクラして目眩がする。いわゆるヤニクラというヤツだ。たとえ電子タバコと言えどもニコチンと微量のタールを含んでいるので数ヶ月ぶりに吸えばこんな感じになる。 ヤニクラ酔いを覚ましたところで洗面所へ行き歯磨きをし、携帯するのにちょうど良いロール容器をコロコロ転がす。柑橘系の微かに甘い匂いが漂いうっとりする。 さすがにタバコとコーヒー臭を漂わせる訳にはいかない、女子とはそういうものなのだ。 『そろそろ戻ろうかな』 私は13階へ戻るため階段を降り始めた。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!