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第一節:目覚め
(まぶしぃなぁ!)
私はカーテンからこぼれ落ちる陽射しで目を覚ました。目の前には見覚えのある人が目を潤ませながら私を呼んでいる。
「柚里香!柚里香!」
「ネェちゃん!」
1人は【芹澤 裕子】私の母親?
もう1人は【芹澤 航大】私の弟?である。
(一体何が起こっているんだ?)
そんなことを思っているうちに白衣を着た中年男性と看護師と思われる30代くらいの女性が部屋の中に入ってきた。
「良かった。柚里香ちゃんの意識が戻って!」と白衣の中年男性。
そして「ハイっ!」と返事をする女性看護師。
(この2人には面識がない・・・って!もしかして此処って病院!?)
辺りを見渡すとカレンダーが目についたので尋ねてみた。
「2018年3月26日の月曜日よ」と母:裕子が答える。
(2018年3月26日?2月26日じゃないのか?確か仕事帰りに・・・あぁ何となく覚えてる。帰り道にバン?と正面衝突?して・・・死んだのか?)
そう、私は【芹澤 柚里香】という女性の記憶を持った全くの別人である。しかしある意味、柚里香の記憶が残っているのは好都合だった。柚里香の家族構成、職場や同僚、友人知人、それ以前に女性特有の処理方法など。42歳の妻子持ちオッサンには・・・。
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