第一章 小屋

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 魔方陣の中心に一人の少女が立っている。 「アタシは召喚術を絶対に諦めない!」  杖を両手に持ち、先を地面に突きつける。地面に刻まれた魔法陣に魔力が宿り、模様が淡い色に光る。 「やった! 今度こそ成功」  喜んだ瞬間、目が眩むような閃光が走った。直後、轟音が鳴り響き、森の広場は大量の煙に包包まれた。 「ゴホッ、ゴホッ」  咳き込みながら少女は腕を払い、煙を退ける。煤だらけになったと顔と髪も拭う。 「おっかしいわね、どこで間違えたのかしら?」  アメリア・グレース・キャンベル、通称マリーと呼ばれる彼女はアントリム魔法学校を主席で卒業した優秀な魔法使いだ。  十八歳で魔法学校を卒業し、既に六年の歳月が経っているが、童顔であるマリーは実年齢よりも幼く見られる。  ブルネット色の髪に碧眼。身なりを整えばすれ違う異性を振り向かせる事は出来る。しかし、身長は理想の美人象よりも 圧倒的に足りず、髪は寝癖でところどころが跳ね、枝毛も多い。まるで寝坊した学生のようだ。  髪を伸ばせば年上に見られると何かの本で読み、腰に届くまで伸ばしたが、ブルネット色の  主席にのみ与えられる名誉帽も、通常ならば普通の大きさなのだがマリーが被ると帽子の方が大きく見えてしまう。大人の帽子を幼子が無理やり被ってしまった感じだ。 「今のところパッと思いつくのは時間ね。朝日が痛いわ……」  連日の実験でマリーは睡眠不足になっており、目の下にはクマが出来ていた。目がシバシバすると思ったマリーは目頭を押さえ、眼球を動かす。 「ヨシッ、目の疲れも取れたし。失敗を記録しましょう。成功へ第一歩よ」  踵を返すとマリーは自分の家へ戻っていった。image=512297131.jpg
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