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「何でもない。それで話を戻すけど、用件は何かしら?」
同じ事が起きないように、マリーはもっと強靭な強化魔法を勉強しようと決心した。
「私を弟子にして欲しい」
真摯的な翠眼で見つめられるマリー。その意思の強さから冗談ではなく本気である事が伺える。
整った顔立ちに見つめられ、異性だったら無茶な内容でも同意してしまいそうな美しい瞳。
「断る」
マリーは拒絶の意思で返答した。
「即決。微塵の迷いもない」
「アタシ、弟子は絶対に取らないって決めているの。他をあたってくれるかしら」
「どうして?」
「どうしてって、それは……」
マリーは自分が優秀じゃないと自負しているからだった。
アントリム魔法学校を主席で卒業したマリーだが、それは自分自身だけの力ではないと思っている。
「こ、個人的な問題よ」
初対面の人に対して、自分はまだま未熟だからとは言えず、マリーは適当に誤魔化した。
「というか、弟子になりたいって言うけど、どこの魔法学校出身?」
「貴女と同じアントリム魔法学校。ついこの間、卒業したばかり」
「卒業したばかりって……」
マリーはもうそんな時期なのかと驚いた。同時にまた自分が年を取る事に嫌気がさす。今更、童顔なのを悔やんでも仕方がないと諦めている。
マリーは学生時代に身長を伸ばす方法や大人っぽく見られるための本を片っ端から読み、実践したがどれも望んだ効果はなかった。
「ちょっと待って。卒業したばかりって事は、今……」
「一八歳」
「そんな見た目で、アタシより六つも年下……」
衝撃を隠しきれず、膝から崩れ落ちるマリー。初見で二十台の半ばから後半ぐらいと予想していた。まさか年下だとは考えてもいなかった。
「それじゃあ、主に何を学んだの?」
「強化魔法」
「強化魔法……それじゃあ専攻は白魔法だったのね」
魔法は大きく分けると二種類に分類される。
再生や身体強化など聖なる力を白魔法、破壊や相手の弱化など闇の力を黒魔法と総称される。
マリーは主に黒魔法を得意としている。中でも一番扱いやすい火の魔法を多様している
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