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「取りあえず仕事の送迎と同行。あとは休日を含めて、一人での外出も禁止させる予定ですので、そこも監視していただけたら有難いです」
「承知しました」
要求に蒼生は頷いた。
「外出禁止⁉ ありえねーだろ!」
さすがに受け入れられないのだろう。葛城が声を荒げた。
「ありえなくないわよ。どうしても外出したい時は柳さんと一緒に行動してちょうだい」
「俺の自由はどうなるんだよ⁉」
「我儘言わないで! 話が進まないじゃない!」
槇田も負けじと言い返した。それを皮切りに口喧嘩がヒートアップする。
「我儘とかじゃねーよ。人のプライベートを奪うなよ!」
「今まで散々遊んできたでしょう? あんた、どれだけの女泣かしてきたの!?」
「それは今、関係ねぇだろ!」
「関係あるわよ。今回の嫌がらせが、青ちゃんに振られた女だったらどう説明してくれるの? 頼むから言う事を聞いてちょうだい。柳さんにも迷惑がかかるでしょう!?」
ヒステリックな声を上げる槇田に蒼生は柔らかな笑みで答えた。
「大丈夫です。どこまでも警護させていただきます」
言い争う二人にフォローを入れたつもりだったが、葛城には煩わしかったようだ。彼の怒りは蒼生へと向かった。
「はあ? どこまでも? 大体さ、こんな軟そうな男が俺の警護なんて出来るのかよ? 女みてーな顔してんじゃん」
小馬鹿にしたような物言いだった。
黙る蒼生へと彼は続ける。
「まあ、実際女だったら喜んで警護されてもよかったかな。それだったらあれこれ含めてお世話して欲しかったけど……もしかして色々してくれたりするの?」
ニヤリと笑われた。気分の悪い冗談に対しても蒼生は無反応を貫いた。
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