マリッジブルー

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正直、その頃は、南海は悪い子ではないんだけど、真面目で優等生の子ばかりと付き合いたいと思っていた私にとっては、あまりお近づきにはなりたくない存在でもあった。 結局、私には、あまり友人はおらず、南海に振り回される形で付き合いはしたけど、どこかへ遊びに行こうなどという誘いには乗らなかった。彼女にかかわると、何となく良いことにならない気がしていたからだ。そんな私の態度を察してか、南海はだんだん、私から遠のく形で、友人関係は自然消滅して行った。  ところが、先日会った南海は激変していた。ブランド物のスーツに身を包み、元々良かったスタイルはさらに洗練され、自分より劣ると思われた容姿は上手い化粧で見事に解消、何より、全身から満ち溢れる自信とオーラで、完璧なイイ女に変貌していた。 「凄い、南海。綺麗になったね。」 「ありがとう。今日は、久しぶりに綾乃に会うから、気合入れて来ちゃった。」 「そんな。友達と会うのに気合入れなくても。」 私は、笑いながらも、冗談ではなく、本気で嫉妬した。 何も友達とちょっと会うだけなのに、そんなに気合入れてきて、頭おかしいんじゃない? 私だって、本気でお洒落すれば・・・。 「ねえ、南海、今なにしてるの?どこで働いているの?」 「私?うーん、ちょっと前までは、キャバクラで働いてたんだけどね。」 なんだ、水商売か。私は、ちょっとだけ優越感に浸った。     
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